焼付塗装について詳しく解説。『市販塗料や缶スプレーと何が違うの?』という方必見!
こんにちはオークマ工塗の中川です。寒い日が続きますがいかがお過ごしでしょうか??
塗装屋は夏暑く、冬寒い過酷な現場です。塗装商品の金属素材を触ると氷のように冷たいのが現実です。しかもブース(スプレー塗装作業場の汚れた空気を強制的に排出する装置)を回しているので数分で全ての空気が入れ替わるので足元から冷えてきます。作業も地味なものが多いです。
ですが、人の暮らしを彩り、社会の役に立つモノづくりに自分たちも携われる事はとても誇らしいことだと私たちは思います^^
さて、前回はメラミン塗装・アクリル塗装・ウレタン塗装の違いについてお話しましたが、今日は焼き付け塗装の全般についてお話していきます。
「ホームセンターで売ってる塗料を自分で塗るのと、どう違うの??」と思っている方いらっしゃいませんか?
市販塗料との違いも解説していきます^^どうぞ最後まで見ていってください!
目次
焼付塗装の焼き付け方法
皆さんがどのような理解をしているのかわかりませんが、
「焼き付けって火で直接焼くの?」
と思われた方もいらっしゃると思います。実際に火で燃やすわけではありません。高温の中で乾燥させることを、「焼き付ける」といいます。イメージとしてはオーブントースターでパンを焼くようなイメージです。
塗装をした後に専用の窯に入れて焼き付けるわけです。
ですので、焼付温度と乾燥温度は同じ意味になります。
焼付塗装の最適温度
弊社が行っている塗料は120度~180度の温度で焼き付ける事が多いです。家庭用のトースターより少し低い温度くらいですね。
我々が使う塗料は温度をかけないと完全硬化しない(完全に固まらない)溶剤系の塗料になります。溶剤系とは、具体的に塗料は「水性塗料(水系)」と「油性塗料(溶剤系)」の2種類に分けられます。話が逸れてしまいますので割愛しますが、また今後記事にしますね^^
この焼付(乾燥)温度は塗料によって異なります。例えばアクリル塗料は”160度20分”です。これは塗った部材の物体温度が160度で20分焼いてくださいと言うことです。メラミン塗料の場合は”120度20分”など、その塗料によって様々です。
一般的にコーナンなどで売られている塗料は自然乾燥でも硬化するタイプの物ばかりです。
主にラッカー塗料や、ウレタン塗料になります。水性塗料もよくみますね。
焼付塗装の工程
工程としては脱脂(洗い)をして素材の油脂分を取り除きます。次は必要に応じてプライマー(ミッチャクロンやサフェーサー)素材との密着をUPさせたり膜厚を稼いだりと色々な使われ方をします。塗料によってはここで一度焼き付け乾燥を行います。
その後塗りたい色に塗装(上塗り)をして最終焼き付けをします。
焼付塗装のメリットとデメリット
メリットとしては、焼き付けする事で完全硬化率が95%以上になる為、部材が冷めたら直ぐに梱包できるので手離れが良い。焼付(乾燥)することによって、密着度が上がる。
デメリットとしては窯が無いと仕事ができない。
これが焼き付け塗装なのです。
焼付塗装の塗装方法
電着塗装も粉体塗装もロータリー塗装も静電塗装(※)も窯に入れて温度をかけて焼き付ける塗装は全て焼き付け塗装といっても間違いではありません。我々が得意としている手吹き塗装もその一つです。
(※)
電着塗装…電着塗料という専門の塗料が入った水の中に塗装したい物を入れて電気を流して塗装を行う方法
粉体塗装…液体を使わずに塗料の原料である粉を静電気の力を使って塗装したい物に付着させる方法
(焼付することによって、粉が溶け、固まる。)
ロータリー塗装…複数のスプレーガンを円周上に対称に配置し、回転させながら下に流れるコンベア上の商品を塗装する方法
静電塗装…静電気を帯電した塗料を利用する方法。
市販塗料との違い
長々と焼付塗装について話しましたが、
「で、市販の塗料とか缶スプレーと何が違うねん?!」という方。お待たせしました。
市販塗料は一般的にラッカー塗装といって、熱を加えなくても自然に乾く塗料です。対して焼付塗装の塗料は程度の温度で乾燥させなければ固まりません。
焼付塗装は、市販の塗料などと違い余分な成分が入っていない為、ほとんどの機能面でラッカー塗装を上回ります。ほとんどの機能面というのは主に、耐久性や密着度です。市販の塗料(ラッカー塗装)は手軽に簡単に塗装できる反面、膜厚が薄いため薄いので熱や水分、紫外線に弱いというデメリットがあります。
イメージで言うと、低温調理と高温調理みたいな・・・(ちょっと・・・いや全然ちゃうな・・・)
要するに、焼き付ける事で素材と塗料がギュッと固く強く密着するのです!
まとめ
今回、焼き付け塗装とはなにかを書いてみましたがいかがでしたでしょうか?
焼付塗装と一概にいっても、本当に様々な塗装方法、乾燥方法、塗料があります。
こういった塗装の幅広い知識のある塗装会社を選ばなければ、塗装不良や密着不良の原因が分からなかったり、コストのかかる方法を行ったりといった損害が考えられます。
こちらでは200件以上納品事例を紹介しております。焼付塗装の事例も多数ございますので、良ければご覧下さい^^何か分からないことがあればいつでもご連絡お待ちしております。
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