【技術開発レポート】蒸着メッキの限界をついに超えた!?
先日、当社の協力会社で「蒸着メッキ」を専門に扱っている塗装屋さんに、蒸着メッキの技術開発について話を伺いました。
蒸着メッキは当社でも請け負っている塗装の一つで、技術・知識においては、まぁ他とは引けをとらない、いや、もしくは…それ以上の経験を積んでいる自信はありますが…
ここの塗装屋さんほど蒸着メッキを奥深く追及された技術者は他に知りません。
また「試作・量産ならどこにも負けない品質を提供する」 そんな類の技術でもありませんでした。ではいったい、どのような蒸着メッキをしている塗装屋さんなのか、
それは一言に「技術開発」です。
蒸着メッキの金属を吹き付ける技術は、アルミ金属はもちろん、チタン・クロム・ニッケル・錫など、金属の種類は問わず様々な金属を付着させる技術開発に成功。まさに蒸着メッキのパイオニアであり「ザ・エンジニア」の称号がお似合いです(って言いすぎww)
今回のブログでは「蒸着メッキ」における技術開発についてご紹介させて頂きます。
飛ばせない金属はない。技術開発は追求すること。
今回お話をお伺いした方は製造部で技術を担当している方です。全部は紹介しませんが、とにかくこの方の経歴がすごい。
「飛ばせない金属は無い。不可能を可能にした、人生技術開発一本道」
まったく意味不明なこのニュアンスから…
この方がどんな人物像であるか想像してください(苦笑)
正直、この方の話はあまりにも技術的且つ専門的で、塗装屋のプロである私もついていくのに必死でした。なので、私が「えー!」っと、思わず耳を疑った開発秘話を少しお伝えさせて頂きます。
一般的な金属ならなんでも蒸着できる
まず真っ先に驚いたのは、「一般的な金属ならなんでも蒸着できる」その言葉でした。
蒸着メッキの認識は「アルミ金属を付着させる」そうインプットしていた私でして、あまりにも平然とした口調で「基本的な金属ならなんでも飛ばせますよ」って言うものだから、思わず聞いちゃいました「なにを飛ばせるのですか?」って。
「アルミ・チタン・クロム・ニッケル・銅・錫など「金属」と呼ばれるものはすべて蒸着できます。また、色々な金属を蒸着する技術を持ってガラスもコーティングできるんです。それとね、蒸着の塗膜をコントロールすることでレインボーカラーを創り出すことにも成功したんですよ」
口が開いたまま硬直状態の私。驚くべき技術はまだ続きがあります。
「蒸着する素材はABSだけに限りません。素材もなんでも蒸着ができるんです」
(えっ?なんでも…)
まさかと思って「ゴムやシリコン系でも大丈夫ですか?」と、私はイタズラに聞いてみました。するとこのような返答が、
「ジュラコン(POM)はNGです。それ以外はほとんど乗せます」
(それ以外?ほとんど乗せる?)
「ほとんど乗せると言うことは、出来ない素材はチャレンジして考えるのですか?」
「まぁそうなのですが、一つの例を紹介しましょう」
おもむろに立ち上がりホワイボードの前に立ちました。
「EPDMってありますよね、ゴムの素材です。ゴムの素材は多種多様でメーカーの製造仕様や、商品のグレードによって密着しないことも当然あるので、あえてそのような言い方をしたのです」
「なるほどですね、他にはありますか?」
「シリコンですね。油の塊のようなシリコン素材はそもそもできません。可塑剤はせめて硬度40%以上であれば蒸着は可能ですよ」
「わかりました。もう一つ質問いいですか?軟質系の素材に付着させる金属も、なんでもいけるのですか?アルミでもクロムでもチタンでも??」
するとその方はそっと立ち上がり、軟質素材に蒸着した商品を私に渡してきました。
「これが軟質エンビに蒸着した商品です。追随しているでしょう」
「はっはい、完璧に密着してますね。これはなんの金属を付着させているのですか?」
「これは○○と××です。(企業秘密)この2つの金属しか蒸着できません」
「へー、なぜこの2つの金属しか蒸着できないのですか?」
するとホワイトボードにその秘密の謎を書き始めた。コツコツコツとペンの叩くその後ろ姿からは、実績と経験を積んだエンジニアのオーラを放つ雰囲気がありました。
「あーなるほどそういう理屈ですか。しかし、そこまでよく追求しましたね」
「それが私の仕事なんです」
と、ドッシリ構え私に優しく微笑みました。
まだまだ続く蒸着の技術開発の物語
今回ご紹介させて頂いた話はごく一部です。すべてお話すると終わりが見えなくなるので、2部構成にして次回の時に改めたいと思います。
次回の話はまさに規格外。いや…規格内の話が規格外なんです(笑)
ぜんぜん意味がわかりませんよね。
ちょっとだけ告知しておきますと。
もしお客様から渡された図面に、この規格が記載されていたら、あなたはどのように思われますか??
「カビキラー24時間浸漬試験。白濁・薄利・浸食無きこと」
この方はなんとこの規格を見事にクリアさせたのでした。
----
----