2016/01/27
今回問い合わせは、当社とは長いお付き合いの協力会社様からの依頼でした。 「自動車部品のアンテナカバーを塗り直し」。小ロット(10個)の塗装をしてほしいとのこと。
こちらの商品は当社では経験がない樹脂成型品で作られていました。 それは、本体部分が「ABS素材」・取っ手の部分は「ナイロンガラス入りの素材」です。
とても特殊な素材です。そもそもなぜ、このような仕様で生地が作られているのかまったくわかりません。聞けば生地の成形は中国産。部材にはすでに塗装が着色されています。何の塗料が使われているのか、それもわかりません。そのような商品を塗装する場合は、非常に困難になる事態が想定されます。
問題その1 素材の問題
塗装をするに当たって、塗料と素材の相性は絶対的な関係でなければなりません。 ABSは樹脂の中でも比較的に密着しやすい素材です。プラスチック成型品なら一番多く用いられている素材でもあります。ABSとは対称的にナイロン素材は、樹脂成型品の中でも「難加工」と言われており、塗装との相性も良くはありません。ナイロンに使用可能な塗料も、実は限られています。
問題その2 塗装されている塗料がわからない。
この商品はすでに塗装済みでありました。しかも何の塗料が使われているのか、わからないことが問題です。つまり再塗装を考える上では、塗料が「ウレタン」なら「ウレタン」の塗料を選定します。しかし、この商品にはその理論が通じない・・・非常に困難です。
この2つの問題をクリアしなければ、ロットが10個と小ロットであっても量産にかかれません。全数の塗装はいったん見送り、「まずは生地1個を密着テストで試すべき」と、提案しました。その事情をすぐに理解して頂いたお客様は、気持ちよく密着テストを承諾してくれました。
先ほどお伝えしたように、この生地の問題は「1つの部材に2つの樹脂で成形されている」ことです。ではABSとナイロンとある場合、どのように塗料を選ぶのか??
それはナイロンに合わせて塗料を選定します。ABSは比較的密着性に長けている素材です。樹脂用の塗料なら大半は問題なく密着します。なので、ABS部分の密着は心配ないと判断しました。
問題はナイロンです。塗料の中でもナイロンは難しい素材に位置づけられています。更にガラスも何%入っているかもわからない・・でも大丈夫です。アイデアはあります。
こちらの商品は「自動車部品のアンテナカバー」でした。つまり耐久性の基準は「自動車部品」にあり、自動車の運転でも問題がない「生地の強度」が必要です。そう考えると、生地に入っているガラスが何%くらいか??ある程度予測がつきます。よって、当社ではある「ウレタン塗料」を選定しました。この塗料は、厳しいナイロン素材の規格もパスしてきた実績のある塗料です。
「塗装されている塗料が何かわからない」問題を解消する為に、素材は全面にペーパーで目粗しをします。塗装屋として一つ断言します。どの商品であっても再塗装の場合は、問答無用で全面にペーパーを当てます。生地に油脂分のような、塗料と相反する成分が付着していない限り、目粗しで密着不良が改善するケースは少なくはありません。
心配していました密着テストは見事に1発で合格しました。正直なところ、2.3回の密着試験は覚悟していました。ABS部分もナイロン部分も密着にまったく問題はありません。この仕事を紹介して頂いた協力会社様も、密着テストに満足してくださいました。
今回の塗装依頼は「1つの部材に2つの樹脂で成形されている」ことがポイントです。 これは、塗装の知識と経験がなければ、まずお断りしたくなる条件です。
特にナイロン素材はまだ「塗装が出来る」と認識が薄く、当社にはナイロン塗装でお困りになったお客様からの問い合わせは後を絶ちません。
これは当社の過去の納品事例です。 「樹脂の合成素材」や「ナイロン塗装」の実績はたくさんあります。 その事例をご紹介致します。引き続きオークマ工塗の納品事例をご覧ください。
ナイロン素材をデザイン塗装!限りなく本物に近い「南部鉄調」・「陶器調」に仕上げました!
合成素材:デザイン塗装 サンプル色見本作成
「6ナイロンの部材」、密着不良でお困りのお客様から問い合わせ
製作者コメント COMMENT
今回問い合わせは、当社とは長いお付き合いの協力会社様からの依頼でした。
「自動車部品のアンテナカバーを塗り直し」。小ロット(10個)の塗装をしてほしいとのこと。
自動車部品アンテナカバーの塗り直し??
こちらの商品は当社では経験がない樹脂成型品で作られていました。
それは、本体部分が「ABS素材」・取っ手の部分は「ナイロンガラス入りの素材」です。
とても特殊な素材です。そもそもなぜ、このような仕様で生地が作られているのかまったくわかりません。聞けば生地の成形は中国産。部材にはすでに塗装が着色されています。何の塗料が使われているのか、それもわかりません。そのような商品を塗装する場合は、非常に困難になる事態が想定されます。
困難を想定する問題は2点。「1つの部材に2つの樹脂で成形されている」
問題その1 素材の問題
塗装をするに当たって、塗料と素材の相性は絶対的な関係でなければなりません。
ABSは樹脂の中でも比較的に密着しやすい素材です。プラスチック成型品なら一番多く用いられている素材でもあります。ABSとは対称的にナイロン素材は、樹脂成型品の中でも「難加工」と言われており、塗装との相性も良くはありません。ナイロンに使用可能な塗料も、実は限られています。
問題その2 塗装されている塗料がわからない。
この商品はすでに塗装済みでありました。しかも何の塗料が使われているのか、わからないことが問題です。つまり再塗装を考える上では、塗料が「ウレタン」なら「ウレタン」の塗料を選定します。しかし、この商品にはその理論が通じない・・・非常に困難です。
この2つの問題をクリアしなければ、ロットが10個と小ロットであっても量産にかかれません。全数の塗装はいったん見送り、「まずは生地1個を密着テストで試すべき」と、提案しました。その事情をすぐに理解して頂いたお客様は、気持ちよく密着テストを承諾してくれました。
塗料の選定はナイロン(ガラス入り合成素材)に合わせる。
先ほどお伝えしたように、この生地の問題は「1つの部材に2つの樹脂で成形されている」ことです。ではABSとナイロンとある場合、どのように塗料を選ぶのか??
それはナイロンに合わせて塗料を選定します。ABSは比較的密着性に長けている素材です。樹脂用の塗料なら大半は問題なく密着します。なので、ABS部分の密着は心配ないと判断しました。
問題はナイロンです。塗料の中でもナイロンは難しい素材に位置づけられています。更にガラスも何%入っているかもわからない・・でも大丈夫です。アイデアはあります。
塗料の仕様は「用途」から考える。「用途」から逆算し塗料を選定!
こちらの商品は「自動車部品のアンテナカバー」でした。つまり耐久性の基準は「自動車部品」にあり、自動車の運転でも問題がない「生地の強度」が必要です。そう考えると、生地に入っているガラスが何%くらいか??ある程度予測がつきます。よって、当社ではある「ウレタン塗料」を選定しました。この塗料は、厳しいナイロン素材の規格もパスしてきた実績のある塗料です。
「塗装されている塗料が何かわからない」問題を解消する為に、素材は全面にペーパーで目粗しをします。塗装屋として一つ断言します。どの商品であっても再塗装の場合は、問答無用で全面にペーパーを当てます。生地に油脂分のような、塗料と相反する成分が付着していない限り、目粗しで密着不良が改善するケースは少なくはありません。
密着テストは1発でOK!引き続き小ロット塗装の量産へ
心配していました密着テストは見事に1発で合格しました。正直なところ、2.3回の密着試験は覚悟していました。ABS部分もナイロン部分も密着にまったく問題はありません。この仕事を紹介して頂いた協力会社様も、密着テストに満足してくださいました。
☆ 今回、塗装依頼のポイントは?
今回の塗装依頼は「1つの部材に2つの樹脂で成形されている」ことがポイントです。
これは、塗装の知識と経験がなければ、まずお断りしたくなる条件です。
特にナイロン素材はまだ「塗装が出来る」と認識が薄く、当社にはナイロン塗装でお困りになったお客様からの問い合わせは後を絶ちません。
これは当社の過去の納品事例です。
「樹脂の合成素材」や「ナイロン塗装」の実績はたくさんあります。
その事例をご紹介致します。引き続きオークマ工塗の納品事例をご覧ください。
ナイロン素材をデザイン塗装!限りなく本物に近い「南部鉄調」・「陶器調」に仕上げました!
合成素材:デザイン塗装 サンプル色見本作成
「6ナイロンの部材」、密着不良でお困りのお客様から問い合わせ
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